算数や数学、統計学など

1から勉強し直した算数や数学、統計学について記録に残していこうと思います。

四則演算について成り立つ法則 2.結合法則

前回に引き続き四則演算について成り立つ法則を見ていきます。

今回は2.結合法則について見ていきます。結合法則とは2つ以上の演算子がある場合、カッコを付けて優先順位を変えても答えは同じになるという法則です。具体例を見てみましょう。

例えば足し算については

\begin{align}
(6+3)+2 = 9+2 = 11 \\
6+(3+2) = 6+5 = 11
\end{align}

よりカッコで計算の順番を変更しても答えは同じなので結合法則は成り立ちます。

次に掛け算については

\begin{align}
(4 \times 3) \times 2 = 12 \times 2 = 24 \\
4 \times (3 \times 2) = 4 \times 6 = 24
\end{align}

よりカッコで計算の順番を変更しても答えは同じなので結合法則は成り立ちます。

次に引き算については

\begin{align}
(4-2)-1 = 2-1 = 1 \\
4-(2-1) = 4-1 = 3
\end{align}

となり計算順序をカッコで変えると答えが違うので、引き算では結合法則は成り立ちません。

次に割り算については

\begin{align}
(8 \div 4) \div 2 = 2 \div 2 = 1 \\
8 \div (4 \div 2) = 8 \div 2 = 4
\end{align}

となり計算順序をカッコで変えると答えが違うので、割り算では結合法則は成り立ちません。

 

ここまでをまとめると1.交換法則と同様に+、✕については結合法則が成り立ちます。

四則演算について成り立つ法則 1.交換法則

四則演算において成り立つ法則が存在します。

  1. 交換法則
  2. 結合法則
  3. 分配法則

「足し算、引き算、掛け算、割り算」がこの3つの法則を満たすか考えてみます。

今回は1.交換法則について説明します。これは演算子の左右の数を入れ替えても答えは同じという意味です。例えば

\begin{align}
3+2 = 5 \\
2+3 = 5
\end{align}

より足し算の左右の数を入れ替えても大丈夫です。次に掛け算を考えてみます。

\begin{align}
3 \times 2 = 6 \\
2 \times 3 = 6
\end{align}

より掛け算の左右の数を入れ替えても大丈夫です。次に引き算を考えてみます。

\begin{align}
3-2 = 1
\end{align}

ですが2-3は計算できません。

よって入れ替えられないので引き算は交換法則は成り立ちません。次に割り算を考えてみましょう。

\begin{align}
6 \div 2 = 3 \\
2 \div 6 = \dfrac{2}{6}
\end{align}

となり計算結果が違います。よって割り算は交換法則が成り立ちません。

 

ここまでをまとめると+、✕については交換法則が成り立ちます。

計算のルール

これまで数と+、-、✕、÷を使い、式を作ってきました。この「+、-、✕、÷」のことを四則演算子と呼びます。ここにさらに「(」という記号と「)」という記号を追加します。これらはカッコと呼びます。上記に関するルールは

  1. ()で閉じられた計算は最初に計算する
  2. 掛け算や割り算は足し算や引き算より先に計算する
  3. 掛け算や割り算だけの式や足し算や引き算だけの式は左から計算する

です。具体例を見てみましょう。

\begin{align}
5+3-2
\end{align}

は3.のルールにより左から計算するので

\begin{align}
5+3-2 &= 8-2 \\
          &= 6
\end{align}

となります。では次はどうでしょう。

\begin{align}
5+4÷2
\end{align}

これはまず2.のルールにより割り算が先に計算されます。

\begin{align}
5+4÷2 &= 5+2 \\
           &= 7
\end{align}

これが正しい計算方法です。もしルール2.を破ると

\begin{align}
5+4÷2 &= 9÷2 \\
           &= \frac{9}{2}
\end{align}

となり、同じ式なのに答えが違ってしまいます。人によって答えが違うと生活が不便なので世界共通のルールを決めたのです。最後に次の計算を考えてみてください。

\begin{align}
5-8÷4÷2
\end{align}

まず、式に引き算と割り算が混ざっているので2.より割り算を先に計算します。その際に3.より割り算は左から計算していきます。

\begin{align}
5-8÷4÷2 &= 5-2÷2 \\
           &= 5-1 \\
           &= 4 \tag{1}
\end{align}

これが答えとなります。では最後に次の式はどうなるでしょう。

\begin{align}
5-8÷(4÷2) 
\end{align}

まず1.よりカッコの中を先に計算します。

\begin{align}
5-8÷(4÷2)  &= 5-8÷2 \\
               &= 5-4 \\
               &= 1
\end{align}

となり(1)と答えが違います。しかし、これはルールを守って計算したので正しい答えです。カッコには何よりも先に計算してほしいという意味があります。慣れないうちは間違うかもしれませんが、練習を繰り返せば頭で考えなくても体が覚えてくれるようになります。

 

割り算の定義 その2

次のような問題を考えます。

ここには全部で6人います。車1台あたり2人乗れます。車は何台いりますか?

  

図から車は3台いることが分かります。

これを式で書くと以下のようになります。

\begin{align}
6 \div 2 = 3
\end{align}

前回の記事と式は同じですが求めているものが違います。今回は車何台つまり「いくつ」を求める問題です。数式を言葉の式で表すと

\begin{align}
「いくつ = 全部 ÷ 1つあたり」
\end{align}

になります。前回は

\begin{align}
「1つあたり = 全部 ÷ いくつ」
\end{align}

でした。同じわり算でも2通りの意味が存在します。今求められているものが「1つあたり」なのか「いくつ」なのかを意識できれば文章問題で割り算でどっちで割るか迷わなくなります。

 

 

割り算の定義 その1

次のような問題を考えます。

ここには全部で6人います。車が2台あります。1台あたり何人乗れますか?

図を見ると1台あたり3人乗れることが分かります。よって答えは3人です。厳密には3(人/台)です。答えの単位が(人/台)ですが、この説明は今までの記事ではできないので後回しにします。(しかし、この単位をしっかり練習することで文章問題などができるようになります)

これを式で書くと以下のようになります。

\begin{align}
6 \div 2 = 3
\end{align}

読み方は「ろく わる に は さん」です。前回の記事を見ていただくと、

\begin{align}
「1つあたり ✕ いくつ = 全部」
\end{align}

の掛け算が基本になるといいました。今回は「1つあたり」を求める問題で「全部」が6人です。「いくつ」が2台にあたるので計算式を言葉に直すと

\begin{align}
「1つあたり = 全部 ÷ いくつ」
\end{align}

になっています。1つあたりを求めるのに「÷」記号をこれから使うということです。

ちなみに

\begin{align}
6 \div 2
\end{align}

のことを

\begin{align}
\frac{6}{2}
\end{align}

とも書きます。

これを分数と呼びます。つまり

\begin{align}
6 \div 2 = \frac{6}{2}
\end{align}

ということです。

掛け算の定義

次のような問題を考えます。

一台の車に3人乗っています。車が2台あります。全部で何人いますか?

足し算で考えると以下のようになります。

\begin{align}
3+3=6
\end{align}

よって答えは6人。

しかし、車の数が多くなると足し算で計算をするのが大変になります。(例)車が8台あれば3を8回足さなければなりません。

 

そこで

\begin{align}
3+3=6
\end{align}

のことを

\begin{align}
3 \times 2=6
\end{align}

のように「✕」記号で書いても良いことにします。このように、今まで分かっていることから新しいことを決めることを「定義」と呼びます。こうすれば車が8台あれば

\begin{align}
3 \times 8=24
\end{align}

のように書くことができて便利です。この掛け算をいちいち足し算に戻して考えるのではなく、直接掛け算の答えを求められるよう学校では九九を暗記します。

 

ここでいちばん大切なのは

\begin{align}
「1つあたり ✕ いくつ = 全部」
\end{align}

という考え方を身につけることです。この考え方が身につけば算数の文章題はもちろん理科や中学高校の数学や物理、化学でも大いに役立ちます。

例えば「1つあたり」はここで言う「1台あたり」に相当し、「いくつ」が「2台」に当たります。そうするとここでの文章題は「1台あたり3人乗っています。それが2台あります。全部で6人います」となります。

筆算を使った引き算

筆算の引き算で次のように計算すると教わったと思います。

\begin{array}{r}
6 \ \phantom{0} \\
\cancel{7}3 \\[-3pt]
\underline{- \phantom{0} 1\ 8} \\[-3pt]
5\ 5 \tag{1}
\end{array}

なぜこのように書くかと言いますと、一の位の引き算ができないため十の位から10を1つ借りて、十の位が7から6に減ることを表現するためです。

式で書くと

\begin{align}
73 &= 60+10+3 \\
     &= 60+13
\end{align}

ここから、引く数の十の位にある1は10で有ることと、一の位である8をそれぞれ60と13から引き算すると50と5になるので(1)の計算結果は「55」になります。

このようにある位の数が引き算できないときに左隣の位から数を借りてくることを「繰り下がり」といいます。ここでは、3から8を引けないので十の位から10を借りてきて13にすることを言います。