割り算の筆算
ここでは掛け算の筆算について説明します皆さんは58÷3の筆算を以下のように教わったと思います。
\begin{array}{r}
19\\
3 \rlap{ \enclose{longdiv} {\phantom{ 58 } }} \hspace{0.5em} 58 \\
\rlap{ \underline{ \phantom{3} }} 3\phantom{0}\\
28\\
\rlap{ \underline{{\phantom{27}}} } 27 \\
\phantom{00}1
\end{array}
この解説の前に割り算の用語について説明します。割り算は「割られる数」を「割る数」で割ります。上の筆算では割られる数は58、割る数は3です。割り算をした答えを「商」と呼び上の筆算では19がそれに当たります。商は割られる数から割る数を何回引けるかを表しています。また割り切れなかった数(割る数で引くことができない数)を「余り」と呼び、上の筆算では一番下の1に当たります。
本題の解説に入りますが、まず58の「5」の上に1を書くのは5は十の位なので実際は50を表しています。50から引き算できる十の位の3の倍数は「30」です。もし5の上に2を書くと2✕3つまり「十の位の2」と3をかけるので20✕3=60となり、58から引くことができません。ここまでを式にすると
\begin{align}
58-3✕10=28
\end{align}
となり、58から3を10回引けることが分かりました。なぜ掛け算が引く回数になるかと言いますと、例えば10-2-2-2は10から2を3回引けることを意味しています。この式の答えは4です。また2を3回引くことを10-2✕3でも表すことができます。この式の計算結果は10-6=4で先程と同じになります。つまりここでの掛け算は何回引けるかを表しています。
今度はこの28を割ることを考えます。そうすると28を超えない最大の3の倍数は27になります。27=3✕9なので28から3を9回引けることが分かります。余りは1でこれから3を引くことができません。
よって商(割られる数から割る数を引くことができる回数)は10+9で19回になります。これが筆算の上の数字の意味です。筆算の一番下の数である1は余り(3で引くことができない数)を表しています。これが割り算の筆算の仕組みです。
これを式で表すと
\begin{align}
58-3 \times 19=1 \\
58 = 3 \times 19 + 1
\end{align}
となります。一般的に割り算は
\begin{align}
割られる数=割る数 \times 商 + 余り
\end{align}
と表現できます。
掛け算の筆算
ここでは掛け算の筆算について説明します。皆さんは25✕3の筆算を以下のように教わったと思います。
\begin{array}{r}
25 \\
\underline{\times\phantom{0} \scriptsize{1} \normalsize{3}}\\
75
\end{array}
1つずつ説明すると、筆算をする際に数の位を揃えて書きます。(例えば5と3を揃える)
そして一の位から掛け算をしていきます。この際一の位同士の結果が10以上になれば十の位の数字をかける数の左側に小さく書きます(今回は5✕3=15なので1を書く)。これは後で十の位の計算結果に足し算をするためです。
次にかけられる数の十の位の2とかける数の3を掛け算します。今回は2✕3=6なので、この結果に先程書いた1を足して7になります十の位の結果と一の位の結果をつなげると75と答えが出ます。
なぜこの筆算で答えが求まるのか計算式から見ていきます。まず
\begin{align}
25 \times 3 = (20 + 5) \times 3
\end{align}
に変換できます。分配法則を適用して計算すると
\begin{align}
(20 + 5) \times 3 &= 20 \times 3 + 5 \times 3 \\
&= 60 + 15
\end{align}
となります。ここで
\begin{align}
60 + 15 = 60 + 10 + 5 \tag{1}
\end{align}
なので15は十の位が1つと一の位が5つに分解できます。筆算のときに書いた小さい1は十の位が1つある、つまり10が1つあることを書いているのです。
後は(1)の計算を十の位と一の位で行えば
\begin{align}
60 + 10 + 5 = 70 + 5 = 75
\end{align}
となり答えが出ます。この計算式を仕組み化したものが掛け算の筆算になります。
小数について 2回目
ここでは小数の計算について書いていきます。例として0.4+0.3の足し算を考えてみてください。これは0.1✕4+0.1✕3のことなので分配法則の逆を行うと
\begin{align}
0.1 \times (4+3) &= 0.1 \times 7 \\
&= 0.7
\end{align}
となります。では1.5+0.8はいくつになるでしょう。0.1の10個分が1なので1.5は0.1が10+5分、つまり15個分になります。よって
\begin{align}
1.5+0.8 &= 0.1 \times 15 + 0.1 \times 8 \\
&= 0.1 \times (15+8) \\
&= 0.1 \times 23 \\
\end{align}
より、0.1が23個あるので全部で2.3個になります。イメージとしては足し算の繰り上がりと同じです。0.1を9回足すと0.9になります。ここからさらに0.1を足すと0.1が10個できたことになります。0.1が10個で1になります。ここからさらに0.1を足すと1.1になります。ちょうど9に1を足すと繰り上がって10になり、さらに1を足すと11になることと似ています。
小数について 1回目
ここでは小数について書いていこうと思います。以下の図を見てください。
青色の部分は1(L)を10等分したうちの1つ分なので、分数に直すとになります。1(L)の10分の1の量を0.1(L)といいます。つまり
\begin{align}
\frac{1}{10} = 0.1
\end{align}
と決めます。はが3個分のことです。は0.1(L)のことなので、この式は0.1(L)が3個分あることと同じです。よって
\begin{align}
\frac{3}{10} = 0.3
\end{align}
となります。「0.1」や「1.2」の事を小数と呼びます「.」は小数点と呼びます。
今まで勉強してきた1,2,3…のことを自然数と呼びます。
分数について 2回目
ここでは分数の大きさの比較と分数の足し算、引き算について学びます。
ここで問題ですが、とではどちらが大きいでしょう。
分母が同じ場合は基準となる分数(これを単位分数と呼びます。単位分数とは分子が1の分数のことです)により大小の比較ができたり計算ができます。
は1を4等分したうちの1つです。は1を4等分したうちの3個分です。よってよりのほうが大きいことが分かります。これを
\begin{align}
\frac{1}{4} \lt \frac{3}{4}
\end{align}
または
\begin{align}
\frac{3}{4} \gt \frac{1}{4}
\end{align}
と書きます。
次は計算問題です。ここにジュースが2つあり1つはです。もう一つはです。この2つのジュースを足すと全部でいくつになるでしょう。
ここで以下の図を見ていただくと分かってきます。
この図において青色2つがを表していて、緑色3つがを表しています。よって足し合わせると全部で
\begin{align}
\frac{2}{7}(L) + \frac{3}{7}(L) = \frac{5}{7}(L)
\end{align}
になります。
分数について 1回目
以前の記事で
\begin{align}
6 \div 2 = \frac{6}{2}
\end{align}
で=の右側の数を分数と決めました。今回はこの分数について詳しく見ていきます。
今1mのテープがあります。これを等しい大きさに2つに分けたうちの1つはいくつでしょう。問題を図にすると以下のようになります。
この青い部分の長さが今回知りたい長さです。1つあたりを求める計算は割り算で求められますが、今回は1を2で割るので割り切れません。青色の長さは1mを同じ大きさに2つに分けたうち(これを等分という)の1つになります。このとき青いテープの長さは1mの(これを2分の1と呼びます)
同様に3等分したうちの1つを1mのと呼びます。これを省略して
\begin{align}
\frac{1}{3}(m)
\end{align}
と呼びます。ではここではどういうことか説明します。
これはが2つあるという意味です。つまり
\begin{align}
\frac{1}{3}(m) \times 2 = \frac{2}{3}(m)
\end{align}
またが3こあるととなります。これは元々の1(m)に他ならないので
\begin{align}
\frac{3}{3}(m) = 1(m)
\end{align}
となります。横線の上の数を「分子」、下の数字を「分母」と呼びます。
四則演算について成り立つ法則 3.分配法則
前回に引き続き四則演算について成り立つ法則を見ていきます。
今回は3.分配法則について見ていきます。分配法則とは2つの演算子について言える法則で、カッコのついた足し算や引き算にある数をかけることと、カッコの中の数にある数をそれぞれ掛け算したものを足したり引いたりしても計算結果が変わらないというものです。言葉ではわけがわからないと思うので例を以下に示します。
\begin{align}
(5+2) \times 3 = 7 \times 3 = 21
\end{align}
また
\begin{align}
5 \times 3 + 2 \times 3 = 15+6 = 21
\end{align}
となり答えは同じになります。このことは、✕3をカッコの中の5と2に分配して良いということです。つまり、以下の関係が成り立つことを分配法則と呼びます。
\begin{align}
(5+2) \times 3 = 5 \times 3 + 2 \times 3
\end{align}
また、掛け算は交換法則が成り立つので
\begin{align}
(5+2) \times 3 = 3 \times (5+2)
\end{align}
も成り立ちます。まとめると、+と✕については
\begin{align}
3 \times (5+2) = (5+2) \times 3 = 5 \times 3 + 2 \times 3
\end{align}
が成り立ちます。本来の分配法則はこの+と✕のみに成り立つ法則です。(そういうルールとして予め決められています)
ですが、引き算の場合でも分配法則は成り立ちます。(この事実は中学校になって引き算を負の数の足し算に変換できることから来ています)
具体的には
\begin{align}
(5-2) \times 3 = 3 \times 3 = 9
\end{align}
また
\begin{align}
5 \times 3 - 2 \times 3 = 15-6 = 9
\end{align}
となり計算結果が同じになります。よって
\begin{align}
3 \times (5-2) = (5-2) \times 3 = 5 \times 3 - 2 \times 3
\end{align}
が成り立ちます。では最後に割り算について見ていきます。
\begin{align}
(8+4) \div 2 \tag{1}
\end{align}
について考えます。以前の記事の計算のルールによりカッコの中を先に計算しなければならないので
\begin{align}
12 \div 2
\end{align}
よって正しい答えは6になります。(1)の÷2を分配すると
\begin{align}
8 \div 2 +4 \div 2 = 4+2 = 6
\end{align}
となり後ろから割ると分配法則が成り立ちます。では前から割るとどうなるでしょう。
\begin{align}
2 \div (8+4) &= 2 \div 8 + 2 \div 4 \\
&= \dfrac{2}{8} + \dfrac{2}{4}
\end{align}
となり、答えが違います。よって割り算のときには後ろから割る場合だけ分配法則が成り立ちます。まとめると
- +(例外として引き算)と✕については分配法則が成り立ちます。
- 割り算については後ろから割るときだけ分配法則が成り立ちます。
余談ですが分配法則が成り立つとは2つの演算子○と*について
\begin{align}
a * (b○c) = (b○c) * a
\end{align}
が成り立つことも条件の1つなので、厳密には割り算は分配法則が成り立つといえません。