算数や数学、統計学など

1から勉強し直した算数や数学、統計学について記録に残していこうと思います。

四則演算について成り立つ法則 3.分配法則

前回に引き続き四則演算について成り立つ法則を見ていきます。

今回は3.分配法則について見ていきます。分配法則とは2つの演算子について言える法則で、カッコのついた足し算や引き算にある数をかけることと、カッコの中の数にある数をそれぞれ掛け算したものを足したり引いたりしても計算結果が変わらないというものです。言葉ではわけがわからないと思うので例を以下に示します。

\begin{align}
(5+2) \times 3 = 7 \times 3 = 21
\end{align}

また

\begin{align}
5 \times 3 + 2 \times 3 = 15+6 = 21
\end{align}

となり答えは同じになります。このことは、✕3をカッコの中の5と2に分配して良いということです。つまり、以下の関係が成り立つことを分配法則と呼びます。

\begin{align}
(5+2) \times 3 = 5 \times 3 + 2 \times 3
\end{align}

また、掛け算は交換法則が成り立つので

\begin{align}
(5+2) \times 3 = 3 \times (5+2)
\end{align}

も成り立ちます。まとめると、+と✕については

\begin{align}
3 \times (5+2) = (5+2) \times 3 =  5 \times 3 + 2 \times 3
\end{align}

が成り立ちます。本来の分配法則はこの+と✕のみに成り立つ法則です。(そういうルールとして予め決められています)

ですが、引き算の場合でも分配法則は成り立ちます。(この事実は中学校になって引き算を負の数の足し算に変換できることから来ています)

具体的には

\begin{align}
(5-2) \times 3 = 3 \times 3 = 9
\end{align}

また

\begin{align}
5 \times 3 - 2 \times 3 = 15-6 = 9
\end{align}

となり計算結果が同じになります。よって

\begin{align}
3 \times (5-2) = (5-2) \times 3 = 5 \times 3 - 2 \times 3
\end{align}

が成り立ちます。では最後に割り算について見ていきます。

\begin{align}
(8+4) \div 2 \tag{1}
\end{align}

について考えます。以前の記事の計算のルールによりカッコの中を先に計算しなければならないので

\begin{align}
12 \div 2
\end{align}

よって正しい答えは6になります。(1)の÷2を分配すると

\begin{align}
8 \div 2 +4 \div 2 = 4+2 = 6
\end{align}

となり後ろから割ると分配法則が成り立ちます。では前から割るとどうなるでしょう。

\begin{align}
2 \div (8+4) &= 2 \div 8 + 2 \div 4 \\
                    &= \dfrac{2}{8} + \dfrac{2}{4}
\end{align}

となり、答えが違います。よって割り算のときには後ろから割る場合だけ分配法則が成り立ちます。まとめると

  1. +(例外として引き算)と✕については分配法則が成り立ちます。
  2. 割り算については後ろから割るときだけ分配法則が成り立ちます。

余談ですが分配法則が成り立つとは2つの演算子○と*について

\begin{align}
a * (b○c) =  (b○c) * a
\end{align}

が成り立つことも条件の1つなので、厳密には割り算は分配法則が成り立つといえません。